あの、晴れた青空
角川書店 CDドラマ
角川書店 CDドラマ
劇団青年座公演 脚本/市川森一 演出/宮田慶子 未発売
主演の西田敏行さんが公演直前で倒れられ、幕が上がるかどうか不安でしたが交代の山野史人さんの熱演で素晴らしい舞台となりました。
フジテレビ・関西テレビ エイベックス 監督/むらた雅彦 AVCA-14885
石ノ森章太郎原作の未来アニメ。日本フィルによるオーケストラや打楽器アンサンブルで緊迫感のある音楽です。
♪ギルガメッシュ
読売テレビ・サンライズ・小学館他 監督/篠原俊哉 AVCA-14841
犬夜叉の映画第三弾。犬夜叉の父と殺生丸をめぐるストーリー。いつもと違うオープニングです。
♪父の願い(映画犬夜叉3 天下覇道の剣)
和田薫指揮/日本フィルハーモニー交響楽団
津軽三味線の巨匠・木下伸市氏のために作曲した作品。2年越しでの曲作りでかなり苦労しました。「じょんから」を取入れた部分もあります。
♪’03〈喚起の時〉でのライヴ収録より最終部(津軽三味線とオーケストラのための“絃魂”)
杉並高校・立正高校&日本フィル金管アンサンブル
杉並公会堂のリニューアルをきっかけに委嘱された作品。久々の純吹奏楽曲です。
¥3,146(税込)
2002.12.18/AVCA-14540
♪祈り、願い(映画 犬夜叉2 鏡の中の夢幻城)
2週間弱のヨーロッパの旅も、いよいよ終わりに近づきました。
考えてみれば、こんなに日本を留守にしたのは何年振りでしょう。締め切りに追われる毎日の中、こんなに自分の音楽と付き合える時間は、そうそうないのが現状です。それがこの2週間、じっくりと自分の音楽に向き合える時間が持てたのは、とても貴重であり、今の僕にとって重要な時間だったと思います。
来年、11月には僕のこれまでの集大成ともいえる、オーケストラと室内楽の個展を行います。今、そのコンサートで初演する曲の作曲を進めているのですが、この旅は大きな刺激となりました。そして、自分の音楽を再確認する良い機会でもありました。僕は、純音楽という自分の音楽を書きながら、劇伴やアレンジの仕事をしていますが、それらが今まで、とても良いバランスで出来ていたように思います。でも、たまにセワしい現実から離れて、こういう時間を持たなくちゃいけないなぁと実感しました。
今日は、乗り換えの都合上、ノルウェーの首都オスロに一泊して、明日日本に向けて出発です。この旅日記も、今日で終わりですが、3日以上も日記をつけたのなんて生まれてこの方初めてのことです。ヘタクソな文章を最後まで読んでくださった、善意ある読者の皆さんに感謝しつつ、またいつの日か旅日記でお目にかかれる日を楽しみにしてます!
では、またサイトでお会いしましょう!!
とうとう、トロンハイムでの雨模様。でも、たまには雨に濡れる古都も良いものです。川沿いに立つホテルのカフェで、停泊しているクルーザーを眺めながら、この日記を書いています。ノルウェーの人達の生活水準って高いんだろうなぁ。前述したように、物価もヨーロッパの中では高い方だし、停泊しているクルーザーも大型のものが多いです。元々バイキングのお国柄だから、船は重要なアイデンティティーなのでしょうが、外国人には羨ましく見えます。家々も、おとぎ話に出てくるような可愛らしい家から、ガラス張りデザインのアパートメントまで、ホント町並みも美しい。今夜のコンサートは、7時30分からなのですが、ゲネプロは朝10時からスタート。こんな早い時間のゲネプロは、他のヨーロッパの国々でも珍しいです。イタリアなんかだと、まず楽員が全員揃わないだろうな。北の人達は、本当にマジメです。時間を有効に使おうとしている。まぁ、ゲネプロが終わってから、本番まで7時間もあるのもナンですけどね。
ゲネプロも、問題なく順調に進行。猿谷さんの新曲は、世界初演ということもあって、打楽器のバチやオケのバランスに十分なチェックを入れていました。僕の曲は、ほとんど通しで問題なく終了。あとは、本番一発の気合かな。この辺が日本的思考かしら?でも、楽員も本番をとても楽しみにしている様子。僕の曲のメロディーを、口笛で吹ながらステージを降りる楽員の姿に何となく愛情を感じました。外は雨でも、心は晴れだ。
さて、ゲネプロが終わって、本番まで7時間・・・。通常日本では(大体の外国でも)、本番直前にゲネプロをやるので、ちょっと変な間を感じてしまいます。これも、お国柄なのかな。一旦ホテルに戻って、コンサートまでくつろぐことにしました。こんな時、ホテルとホールが間近だと本当に助かります。
本番30分前に再び会場入り。まだ人はまばらです。コンサート前の雰囲気というのは、国によって様々です。日本では、開場の30分以上前に、既にお客さんは会場前で待っていたり、少なくとも開場時間には多数のお客さんが来ているのが普通ですが、こちらは開演に合わせて来る人が多いようです。数年前アムステルダムで公演した時は、開場と同時に沢山のお客さんが入場して、時間までホールのカフェでオシャベリしていました。
今日のコンサートのお客さんは、中学生くらいからご老人まで、幅広い年齢層でした。ミュンヘンでも若い客層の集客に懸命だったし、今回も「日本週間」で若いお客さんが来てくれている。これは、とても大切なことだと思います。作曲家にしても、演奏家にしても、本番のコンサートというのが一番なのです。そして、それは出来るだけ幅広く多くのお客さんに来てもらいたいものなのです。多分今まで日本人なんて見たこともない、ましてや、日本の音楽なんて聴いたことのない若い人達が、どんな風に今日のコンサートを感じてくれるのか、僕だけでなく、オーケストラにとっても楽しみなことでしょう。
7時30分、コンサート開演。今回は、ミュンヘンの時と違ってトークがないので、純粋にお客さんとして聴くことが出来ます。気が楽です。1曲目の「越天楽」に続き、猿谷さんの「玉の緒」の初演。休憩をはさんで、三木氏の「舞」。そして、トリが僕の「民舞組曲」。2日間のリハと今日のゲネプロを通して、この本番での演奏が一番気合というか、熱のある演奏でした。客席から、オケの演奏と聴いているお客さんの様子を交互に見ていたのですが、次第に体を乗り出くるお客さんの様子に、僕も手応えを感じました。
ジャジャジャン!
終演と共に、大きな拍手で僕はステージ迎えられました。オーケストラのみんなも拍手で迎えてくれました。なにものにも表現しがたい瞬間です。カーテンコールを受け、大勝さんやオーケストラのみんなに挨拶。
公演後、沢山の人達に声を掛けられ、中学生くらいの子供達からもサインを求められました。大人のお客さんも勿論ですが、このようなゲンダイオンガクに何の先入観もない若い人達が、僕の音楽を好きになってくれるのは何より嬉しい。楽屋裏に行っても、オケのチーフマネージャーをはじめ、ノルウェー大使や多くのお客さんや楽員がワイワイやってきてくれました。
ひととおり挨拶をしおえた僕、大勝さん、猿谷さん、宮田さん達と連れだって、打ち上げの夕食会へと向かいます。もう話は尽きず、12時をまわって最後の客になるまで語らいました。ホント、こういう晩は時間を忘れるものです。みんなで、また再会を約束しつつ部屋に戻りました。
今日のリハーサルは、笙のソリスト宮田まゆみさんの到着スケジュールの都合で、夕方の4時からスタートということになりました。今回の公演には、僕の作品のほか、近衛秀麿の「越天楽」、三木稔氏の「舞」、そして新作委嘱作である猿谷紀郎氏の「玉の緒」が初演されます。その猿谷氏の曲が笙とオケのコンチェルトなのです。オーケストラ側からのリクエストらしいですが、難しい編成です。邦楽器の作品の多い僕でも、笙や篳篥など、雅楽の楽器はちょっと避けていました。なにせ、楽器の制約が多いし、その音律(楽器のキー)自体が西洋のそれとは違うので、そのコンチェルトとなると作曲はおそらく困難を極めるでしょう。そんな制約の中で作られた猿谷氏の新作は、雅楽のノーブルさの中、オーケストラとの調和に果敢に挑んだ秀作です。
コンサートのプログラムは、このような雅楽の響きから、僕のような土俗的な作品まで、まさに多彩なプログラムです。日本じゃ、こんなプログラム組んでくれるオーケストラはちょっとありません。もう少し日本のオーケストラも、自国の作曲家の作品を演奏して欲しいものです・・・。
今日のリハーサルも、大勝さんの丁寧な解説(伝統的な音響フレーズなどのイメージを伝えるんですよ)のもと、オーケストラもとても積極的にその響きを理解しようと努めてくれています。とても良いコラボレーションです。僕の作品以外は、3曲とも彼らにとっては初めての曲なので、そのイメージを掴むまでは、ちょっと慣れない感じもしましたが、リハーサルを重ねていくうちに、そんな不安は飛んでいくものです。音楽という共通言語で結ばれるからこそ、次第にお互いを理解していけるのでしょう。それが、伝統に根付いたものであっても「感じる」ことに国境はありません。そんな、貴重な体験が出来る今回のプログラムです。
僕のこの「民舞組曲」は、10年くらい前に、初演指揮者でもある広上淳一氏が、このオーケストラでノルウェー初演をしてくれています。僕は、残念ながらその時は立ち会えなかったのですが、今回の再演で当地を訪れることが出来て本当に良かったと思っています。音楽といえども、人が演奏して初めて成り立つもの。ようやくお互いに顔を合わせ、話をし理解し、共感し合える時間がもてたというのは、とても幸せなことです。オーケストラのメンバーも、遠く日本からやってきた僕らを、とても歓迎してくれています。感謝。
今日のリハーサルも、たっぷりと練習をし、僕らは夜8時に食事へと向かいました。昨日のレストランが美味しかったよ、という話をしたら、みんな行きたいというので、今日もそこへ行くことに。昨日の海老と牡蠣のセットがオススメなのですが、宮田さんは本番前なので、ナマモノは避けることにしたようです。演奏家は、身体が資本なのです。公演前に食中毒にでもあったら大変。自己管理責任を問われてしまいます。だから、演奏会の前には、ナマモノなどは食べないようにしているとか。その点、作曲家はイイ加減。もう作品は出来上がっているので、腹を壊そうが、死のうが、演奏会には支障がありません。というより、本人達が、演奏家ほどの自覚がないのです。そういう訳で、猿谷さんと僕は、遠慮なく牡蠣を頼みました。それにつられてか、宮田さんも「2つだけ・・・」やってきた牡蠣を口に入れた途端、「オイシー!!」やはり食べ物の誘惑には勝てませんね。
あとは、白身魚やアンコウ、小さめの鮭等の料理を注文し、ワインを飲みながら11時過ぎまで盛り上がりました。明日、朝の10時からゲネプロだというのに、時間に気づかず、こんな遅くまで飲んじゃってスミマセン、宮田さん。でも、楽しいお酒でしたね。
その日もホテルへ戻ると、直ぐにグッスリ就寝。健康的だ。