リハーサル1日目
いよいよ今日からリハーサル!
まず初日は水間博明さんの指揮で「民舞組曲」からの「囃子」と「土俗的舞曲」、そして今回初演となる「チェロとオーケストラのための 祷歌」
今回、オーケストラへのプレゼントを兼ねて日本から締太鼓、馬子鈴、拍子木、木板を持参したので、それを抱えて9時30分にはリハーサル会場へ。
バカンス明けもあってか、既に早めに楽員の方々は集まっていました。
ちょうど廊下で、水間さんに先月28日の打ち合わせ以来の対面。
ご挨拶をして、まずは日本からの打楽器を演奏者へ。
ご挨拶と楽器の説明をして、指揮者室で軽く打ち合わせ。
10時から、いよいよリハーサル開始!
まずは、Fechnerさんの僕の紹介があり、その後に僕が挨拶。
勿論、ドイツ語は話せないので、英語で簡単にスピーチ。
「…僕の作品は典型的な現代音楽ではないですが、皆さんに共感していただけたら嬉しい…云々」
さぁ、まずは「囃子」からのリハーサルです。
リハーサルと言っても、レコーディング設備が完備されたホールでの練習。
響きがとっても良いのです。
最初の音出しで、バカンス明けとはいえ、オーケストラのバランスの良さ、各パートの力量の高さ、そしてなにより最初から作品に対する集中力が素晴らしい!
いろいろと奏法の説明や楽曲の解説も踏まえながら進んで行ったのですが、この「囃子」は打楽器パートに“掛け声”があり、最後の掛け声を全員でやろうということになりました。
「いよぉーーーおっ!」
という能囃子のような掛け声なのですが、皆さん楽しそうに叫んでくれました。
その後、「土俗的舞曲」のリハーサルに進み、午前のリハーサルは終了。
なんと10時から1時間半、みっちり演奏しっぱなし!
タフです、ドイツ人。
初日の初回からこんなに飛ばして大丈夫なの?!
でも指揮の水間さんは「全然大丈夫(笑)。バカンス明けだから2日くらいしたらもっと良い音になるよ」
このペースで7回もリハーサルですか?!
凄すぎます!
日本のオーケストラだったら○○されちゃいます。(苦笑)
30分の休憩を挟んで、午後からは録音を兼ねたリハーサル。
今回の公演は、キングレコードからリリースされる予定なのですが、日本の感覚で言うと、コンサートを一発録音してリリースするのがライヴ盤。
でも、こちらではコンサートは演奏の事故がつきものなので、必ずリハーサルをしながら、この設備の整ったホールで録音をするのだそうです。
やはりここでも完全主義のドイツ流!
しかも、これまでさんざんリハーサルしたのに、録音となると少しのミスも許されず、20回以上のテイクを重ねていました。
僕としては、「こんなに演奏して疲れないかな…」という心配ばかり。
ところが、水間さんは「全然このくらい少ない方ですよ」とアッサリ。
確かに、回を重ねるごとに、段々と僕の音楽を理解してくれ、コツが分かってきたせいか、どんどん良い音になっていきました。
録音のコントロールルーム
午後の録音は、コントロールルームで聴いていたのですが、ディレクターの素早い指示と粘り強いディレクションはとても勉強になりました。
またエンジニアも、ことあるごとに「これで大丈夫か? 何でも言ってくれ」と、とても積極的に、そして楽しそうに録音してくれました。
CDはステレオなのですが、なんと今回はサラウンド録音。
さすがドイツ最大の放送局だけあって、やることが徹底してますね。
コントロールルームからのオーケストラ
僕もよく日本の某放送局で録音するのですが、その違いに目を見張ると同時に、大変勉強になりました。
こだわりと妥協を許さないその姿勢は見習うものが多いなぁ。
「囃子」と「土俗的舞曲」でかなり時間を費やしたので、「祷歌」は今日は音だし程度に。
でも、この曲は初演なので作曲者としては緊張の一瞬でした。
前2曲とは打って変わって、リリカルで荘厳な雰囲気なのですが、こちらの方がむしろドイツのオーケストラにはストレートに理解されたようで、2回くらいの通しで、僕の想像以上に曲が仕上がって行きました。
何より、チェロのオリバーさんの独奏が素晴らしい!!
「祷歌」におけるチェロは、巫女のイメージなのですが、まさにそれが憑依したような感じを受けました。
明日の本格的なリハーサルが楽しみです。
リハーサル後のロビーで
左から、水間さん、僕、オリバーさん、高橋さん
そして、ここでスペシャルなお知らせ!
なんと! 急遽今回のコンサートをインターネットでライヴ生中継することが決定しました!!
生中継なので、日本では夜中の3時からの開演。(苦笑)
でも、ネットなので全世界へのライヴ生中継です!
詳細が分かったら、またここで報告しますね!
お楽しみに!!
ケルン2日目(市内観光?!)
BBSにブログのコメント書き込みありがとうございます!
出来るだけドイツの臨場感が感じられるようマメに更新しますね!
今日は、午前中にFechnerさんやオリバーさん、ステージマネージャー、録音担当の方々を交えての打ち合わせでした。
Fechner さんとは7年ぶりの再会でしたが、全然変わってなく、7年前の話や今回の企画のことで話題は尽きませんでした。
一番の問題である和太鼓の搬入や録音など、スタッフからもいろいろと質問や提案があり、このコンサートを成功させたいというモチベーションがひしひしと感じられ嬉しかったです。
Fechnerさんに、大太鼓のミニチュア(と言っても本物と同じ素材の)とハッピををお土産にプレゼントして大ウケでした。
打ち合わせの後は、ケルン市内見学。
日頃全くと言っていいほど歩く機会がない僕が、3時間もキョロキョロと(おのぼりさん状態)歩き回りました。
まずは、大聖堂の横にあるコンサート会場のフィルハーモニー
今日は表だけ。
後日中の写真もアップしますね。
そして、ホールの裏にはライン川が流れ、ちょうど川沿いは公園になっていました。レストランも沢山あって観光客で一杯。
ライン川と観光船
そしてそして、そのすぐ側からズ〜ッと続くショッピングモール
今日はウインドショッピングだけに。。。
その途中に市内観光用の機関車の形をした路面電車。
カワイイ!!
さらにさらに歩いていくと、今回のコンサートを主催してくださるWDR(西部ドイツ放送協会)のビルが。
この左のビルもWDRで、ズ〜ッと奥まで建物は続いています。
リハーサルは1駅先のビルで、本格的なレコーディングも出来るホールになっています。
なんだか観光ブログになってしまいましたが、明日からはリハーサル。
その模様もまたアップしますね!
お楽しみに!!
追記
今日のケーニッシュ
飲みやすくてキレがある。これで1杯200円!
夕飯はシュニッツェル
よくウチの夕飯でも作っているのですが、どんなもんだか味比べ
やっぱりビールに合う味でした。
午後8時を過ぎてもこの明るさ
夜はまだまだこれから! という雰囲気。
僕は帰って勉強します!
ケルン到着
ケルン到着!!
時差の関係上、出発日と同日に到着するんです。
徹夜明けのまま飛行に搭乗し、機内ではグッスリ。
約12時間のフライトも睡眠&食事タイムで難なく乗り越え、無事フランクフルトへ到着。
チェロのオリバーさんと高橋さん、そして息子のファビアンくんがお迎えにきてくださいました。
フランクフルトからアウトバーンでケルンまで約1時間半。
最高速180kmでビュンビュン飛ばすのは流石ドイツ!
おしゃべりしながらあっという間に滞在先のホテルへ到着。
ササッとチェックインを済ませ、オリバーさん達に連れられWDRと近所を散策。
ホテルの目の前には、あのケルン大聖堂!
歩き疲れたところで、ビアホール?なレストランでケーニッシュ(地ビール)とケルン料理で夕食。
PETERSというメーカーのケーニッシュ
コクとキレがあって美味しい!
豚肉の厚切り薫製とマッシュルームポテトにザハクラフト
ビールにぴったりの料理! ザハクラフトはそんなに酸っぱくなかった。
日本→ケルン移動に街中観光と盛りだくさんの一日を無事終了!
明日は朝から打ち合わせです。
出発!
さぁ、ドイツ・ケルンへ出発です!
19日からリハーサルです。
今回、リハーサルがなんと7回も!!
通常、日本のオーケストラは2回くらいです。
いつもやっている名曲クラシックなら1回のリハーサルで本番!
今回は、シーズン最初のコンサートと言うのもあるのと、全曲オーケストラにとっては初めての曲ばかりですからね。
それにしても、7回とは、、、、 生真面目なドイツ気質を感じます。
リハーサルの様子は、またこのブログで報告しますね!
それでは、行ってきます!!!
海響
ケルン出発へ秒読み状態に入りました!
今回、林英哲さんらの「鬼神」で和太鼓をふんだんに使用しますが、「民舞組曲」や「絃魂」「海響」もオーケストラの打楽器パートに若干邦楽器が編成されています。
締太鼓、馬子鈴、びんざさら、拍子木等々
今回、これらの楽器を持参するのですが、なんと「びんざさら」は既にオーケストラが持っていました!
いったいどんな曲に使用したんだろう??
「管絃楽のための交響的印象 海響」には、締太鼓、鈴、そして木板を使用しています。
木板って?
これは、文字通り木の板を木槌で叩くんです。
いつもは、“まな板”なんかを使っています。
これが結構効果的なんですよ。
ドイツにまな板があるかどうか分からないので、一応持参します。
最近は、この曲の吹奏楽版もコンクールの自由曲に取り上げられることも多く、Gran Cassa(大太鼓)パートを和太鼓で演奏する団体も多く見られます。
「和」の感じを全面に出しているんですね。
この「海響」は、昨年アメリカ初演をし、続いてのヨーロッパ初演です。
千葉県銚子の委嘱で、当地の自然や民謡をモチーフにした作品ですが、銚子から全国へ、そしてアメリカへ、ヨーロッパへと広がって行くのは、作曲家にとってこれほどの歓びはありません。
コンサートの選曲をする際、この曲を演奏しようと言ってくれたFechner氏の脳裏にはどんな“海”が見えたのでしょう。
ドイツ北部のバルト海と銚子の海。
そこに共通点は少ないかもしれませんが、生命の源である海からインスピレーションを受けるのは、西洋人も東洋人も同じなのでしょうね。
ドビュッシーの「海」とは違う日本の海が、ドイツでどう響くか?!
「和田薫の世界 喚起の時」より「海響」
鬼神
気が付けば2週間ぶりのブログになってしまいました!(大汗)
この間、地方へ打ち合わせに出たり、締切りがあったり、録音や収録…
ケルンに行く前にやっておかなければならないことが山ほどあり、
アッという間の2週間でした。
そうそう、台風や地震など天災も凄かったですね。
被害に遭われた方へ心からお見舞い申し上げます。
さて、先日再び林英哲さんの太鼓道場へリハーサルへ行ってきました。
道場は、某所山中にあるのですが、緑の森の中、太鼓の音が響き渡りました。
英哲さんとは、ここ数年続けて拙作を初演してもらっているので、お互いやり口が分かると言うか、こうして欲しいとか、こうくるな、というのが以心伝心出来るようで、とても充実したリハーサルが出来ました。
左から、上田秀一郎さん、林英哲さん、田代誠さん
今回の新作「鬼神」は、以前このブログでも書きましたが、
「鬼=大地の神=太鼓」と「神=天上の神=オーケストラ」という構図からなり、
日本の音と西洋の音との対比と融合でもあります。
既に数多くのオーケストラとの協奏曲を初演している英哲さんですが、この「鬼神」も英哲さんの太鼓を想定し、彼を中心にオーケストラも配置しています。
今回のコンサートの立案者でもある事務局長のFechner氏は、和太鼓とオーケストラの新曲をまず第一に考えたらしいのですが、特に特定の和太鼓奏者を決めていたわけではありませんでした。
オーケストラとの協奏曲というからには、新作の楽譜が読めるのは勿論のこと、オーケストラとのバランスや指揮者との呼吸、リズム感の違いを補正する技術など、かなりのテクニックと経験を必要とします。
現在、日本も和太鼓ブームもあって数千団体の和太鼓グループがあるのですが、この条件を満たしてくれるところは、英哲さんと英哲風雲の会を覗いてほとんどないのが現状なんです。
僕は、この話が来た時に真っ先に英哲さんのことをイメージし、彼にしかこのコンサートは出来ないとFechner氏に推薦したのでした。
英哲さんとはじめて会った「四座響宴」から、吹奏楽との協奏曲「鼓神」、打楽器アンサンブルとのコラボレーション「鼓神 II」、そしてこの「鬼神」と4作目を数えるに至りました。
どの作品も作曲者の楽想を大きく上回るパフォーマンスで、圧倒的な生命力を作品に吹き込んでくれます。
作曲家にとって数少ない「作品を書きたい演奏家」なんです。
コンサートのフィナーレを飾る「鬼神」が、どのようにドイツのお客様に迎えられるか楽しみなところです。
NHK-FM「今日は一日『SF・ヒーロー』三昧に出演
16時間の長時間番組「○○三昧」のSF・ヒーロー特集で、22時か23時頃から「ゴジラと共に50年 伊福部昭を聴く」にゲスト出演
2009年8月16日(日) 9:00~25:00(途中中断あり)の内22時以降の約1時間
聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話~オリジナルサウンドトラック~リリース!
好評のOVAシリーズのサントラが早くもリリース!TVサイズのOPEDを含む全36曲を収録
価格 :2,625円(税込)
レーベル:東京ムービー・レコード
品番:TMS-306 発売日:2009年9月25日
祷歌
いよいよケルン公演の8月となりました!
今日は、そのコンサートで初演される2作品の内、
「チェロとオーケストラのための 祷歌」について書きます。
この作品は、今回のケルン公演の打ち合わせの中で、
チェロを独奏とした、何か叙情的な作品を取り上げたい、と言う意向から生まれました。
チェリストのオリバーさんは、拙作の「民舞組曲」の「追分」のチェロ独奏部を気に入ってくれていて、こんな感じの曲は他にないかと訊ねてくれました。
当初、日本の民謡や「荒城の月」などの古い歌をモチーフにした作品を考えていたのですが、それだとオーケストラがどうしても伴奏的になってしまい、作品として独自性に欠けてしまうと言う結論に達し、それだったら全く新たに曲を書こう! ということになった次第です。
タイトルにある「チェロとオーケストラのための」は、チェロ協奏曲ではなく、チェロとオーケストラが対等な位置を為すのを意味します。
作曲にあたり、オリバーさんが演奏したCDなどを送ってもらい、その叙情的な感性や音色、そしてその「歌い方」にとっても魅了されました。
そして、あるイメージが浮かんできたのでした。
神社の拝殿、もしくは自然の中で、巫女が憑依し神化していく様。
チェロを巫女とし、オーケストラを巫女を包み込む自然とする形態。
そういうイメージの下、カデンツァを挟んで緩急の構成から成る8分位の新作が完成しました。
タイトルの「祷歌」とは、僕が考案した造語ですが、厳粛な祈りの中で歌われる儀式的な作品を表します。
実は、この作品の作曲過程でとても悩むことがありました。
上記の楽譜にあるように、始まりは「A」の音で、これは僕が最初に楽想したキーなのですが、これらのフレーズを1音下げて「G」にすると、開放弦を多く使った楽案になるんです。
通常、弦楽器は開放弦を使った方が「鳴り」が良いとされ、どちらのキーに設定するか非常に悩みました。
まぁ、いくら悩んでもチェロを弾かない僕には判断できるわけもなく、知人のチェリストに相談することとなったのです。
「A」音バージョンと「G」音バージョン
知人のチェリストも、楽譜をパッと見た感じでは「G」の方が良いだろうと思ったそうですが、なんと「A」の方が以外としっくりくるということでした。
弾き易さはどちらも同じだそうなんですが、どちらかというと「A」の方が“意外といいかも”と。
曲を通した音色は、全く違うのですが、やはり最初にイメージした「A」の方が僕のイメージした音に合っていました。
結論。
「A」 音始まりとなった訳です。
やはり訊ねてみるもんですね。
今回のことは、知人のチェリストも意外な結果でしたが、彼曰く、
「やはり、作曲家が最初にイメージしたものが一番いいんだよ」
と、この言葉に勇気づけられました。
オリバーさんとも、来日中に何度か打ち合わせしましたが、なんの問題もないとのこと。
あとは、ケルンでの合わせリハーサルが楽しみなところです。
そちらもまた、このブログで報告しますね!
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