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コンサート当日!

コンサートは大盛況でした!!
素晴らしいオーケストラ、素晴らしい聴衆。
大興奮の2時間でした!

この日は、15時から英哲さん達和太鼓のサウンドチェック、17時半からオーケストラのゲネプロ兼サウンドチェックなので、朝はゆっくり。
しっかり身体を休め、15時過ぎにはホール入り。
楽屋のプレートを見て気合いが入ります。
楽屋プレート
既に進められていた英哲さん達のサウンドチェック
英哲さん達のサウンドチェック

17時過ぎから続々と楽員達もホール入りし、いよいよゲネプロ
今までリハーサルをやって来た放送局のホールは凄く響きが自然で、コンサートホールとしてもとても良いホールなのですが、本番のここフィルハーモニーは、またちょっとキャラクターの違う響きでした。
2000人以上を収容するのですが、形状が変わっていて、ちょうどギリシアの円形劇場のようなすり鉢型になっています。
なので大ホールにしては、バランスよく一番後ろの席までしっかりと聴こえ、どの席からもオーケストラ全体が見えるという感じでした。

水間さんのゲネプロ
水間さんのゲネプロ
曲順に沿って、水間さんにゲネプロをして頂きます。
「おお、これまでとは響き方が違うな」と実感。
そんなに残響が多くなくバランス良い響きです。
これなら和太鼓にも良い感じ。

ゲネプロは1時間くらいしかないので、サクサクと音響的なチェックだけして進みます。

そして、僕の番。
ホールが違い、オーケストラの感触も違うので、それを確認しつつ進めます。
オーケストラも「いよいよ始るぞ!」と本気モードが入っています。
僕のゲネプロ

無事ゲネプロを終了し、開演まで1時間くらいあるので、ちょっと近所のスタバで軽く腹ごしらえ。

30分前にはホールに戻ったのですが、第一部は客席に混じって聴こうと思いホールロビーへ。ちょうど日本からのツアーのみなさんにお会いできて、記念写真をパチリ。

最後尾の席に座り、いよいよコンサート開演!
Fechnerさんの司会進行で進めます。ヨーロッパのコンサートでは、日本のようなプログラムは殆どないのですが、今回はケルンの聴衆にとって初めての曲ばかりなので、Fechnerさんが1曲1曲丁寧な解説をしながら進行して行きました。

1曲目は、民舞組曲より“囃子
ノリの良い演奏で始り、お客様も「おおっ」てな感じ。

2曲目は、英哲さんとこちらのヴァイオリニストTakashi Bernhöftさんとの“SAKURA
大太鼓で始るインプロビゼーションのコラボなのですが、大太鼓の1発でお客様もビックリ! ちょうど大太鼓の上にポディウム席があり子供達が座っていたのですが、飛び上がって驚いていました。
白熱のコラボレーションが終わったとたん「ブラボー」の嵐!
おお、ドイツのお客さんはノリがイイな、と感じました。

3曲目は、民舞組曲より“土俗的舞曲
非常にエネルギッシュながらバランスの良い演奏で、オーケストラも楽しそうでした。

4曲目は、“津軽三味線とオーケストラのための絃魂
牛若丸のようなちょっと平安朝なデザインの衣装で木乃下さんが登場!
いよいよケルンで初の津軽三味線です!
とても気合いの入った演奏で、やはり空気がドライなせいか、この大ホールでも津軽三味線はオーケストラに負けることなく、一番後ろで聴いていてもバンバン響いてきました。素晴らしい熱演に、終わったとたん「プラボー! ブラボー!」

20分の休憩を挟み、第二部へ。
この間、僕は楽屋へ戻り着替えを。第一部を終え、オーケストラのメンバーもとても満足そう。
こちらでは、楽屋ロビーにドリンクコーナーというかスタンドバーみたいなのがあるのですが、中にはビールを飲んでる人も!
「こっちでは、ビールは水代わりさ」
で、でも本番中ですよ(大汗)
ドイツ人、スゴ過ぎです。

5曲目は、“オーケストラのための交響的印象 海響
ここからは楽屋か舞台袖でしか聴けないのですが、終わったとたん興奮の「ブラボー!」の嵐! オーケストラも大熱演でした。

6曲目は、“チェロとオーケストラのための祷歌
今回世界初演の委嘱作品。オリバーさんの素晴らしい独奏で、今までの曲調とはがらりと変わってリリカルで荘厳な雰囲気。後半のアレグロも大熱演でした。
演奏後、何度もオリバーさんはカーテンコールを受け、オーケストラのメンバーからも祝福を受けていました。

7曲目は、英哲さんと上田さんと田代さんで“三絶
三人の息の合った、そして気合い十分の演奏は、もう聴衆を圧倒しまくり! 舞台袖から見てても聴衆の興奮が伝わってきます。
終わった途端、凄いブラボーの嵐とスタンディングオベーション!
まさに、林英哲ここにあり!って感じです。

8曲目は、“犬夜叉幻想
いよいよ僕の指揮です。Fechnerさんの紹介後ステージへ。
おおっ、という感じのお客様のリアクション。お客様もオーケストラも期待と興奮が伝わってきます。
渾身の犬夜叉!
この何日も、録音も兼ねてやってきた犬夜叉ですが、本番が一番の出来で、オーケストラとも心が一つになった実感がありました。

しかし、白熱の演奏のせいか、もうこの一曲でエネルギーの8割は使った感じ。次の曲はもっと大変なのに。。。

最後は、“和太鼓とオーケストラのための協奏的断章 鬼神
いよいよフィナーレ。そしてこの作品も委嘱世界初演となります。
舞台袖で、英哲さんと気合いを入れながら、いざステージへ。
白熱の和太鼓、熱狂的なオーケストラ、そして背中に感じる聴衆の興奮!
僕の体力はとっくに限界を超え、もはやランナーズハイ状態に!
今までにないくらいの集中力で、なんとか最後まで振り切りました。
途端に、凄いブラボーの嵐!
振り返るとお客様みなさんがスタンディングオベーション!
何度もカーテンコールを受け、コンサートの出演者全員でステージへ。
お客様の興奮にお応えして、“鬼神”の最後のアレグロをアンコール!
はっきり言って、この時もう腕は上がりませんでした。気合いだけで振ってたような。
そして、熱狂と興奮とともに、コンサートは無事終演。
フィナーレ
今回、このコンサートの模様をライヴ・ストリームとしてインターネットで生中継したのですが、早速多くの方々から感動のメールやBBSへの書き込みを頂きました。ありがとうございます!!
凄い時代になったもんだと、実感実感。

コンサート終了後は、楽屋ロビーでレセプション。
オーケストラ、スタッフ、関係者、そして日本からのお客様も交えて多いに盛り上がりました。
その後は、指揮者とソリストのみなさん、日本人のオケプレーヤーと打ち上げへ。ライン川近くのイタリアレストランで深夜2時半まで、今夜の成功を祝い合いました。
打ち上げの1ショット
打ち上げ

ホテルに戻ったのが3時過ぎ。
あとは、ベッドに崩れるように爆睡。
みなさん、お疲れさまでした!!!

リハーサル7日目通しリハーサル

今日はリハーサル最終日。
全曲を演奏会と同じ曲順で通します。
勿論、録音もしながら。

日本から駆けつけてくれたツアーのみなさんや明日の演奏会に来れないドイツ在住の日本人の方々など、若干のお客さんのいる中スタート。

オーケストラを素晴らしい棒さばきでコントロールする水間さんとオケ
水間さんとWDRO

今回、ゲストとしてヴァイオリン奏者Takashi Bernhöftさんと林英哲さんの即興コラボレーション。
英哲さんとタカシ

「犬夜叉幻想」を指揮する僕
指揮する和田

一通り通し練習を終えてのソリストの皆さんと僕
右から、林英哲さん、高橋さん、高橋さんのお母様、オリバーさん、木乃下さん、僕
ソリストの方々

リハーサルが終わって、みんなで明日の会場であるフィルハーモニーを下見に行きました。
2000人以上のキャパで、かなりモダンな構造。
宇宙船の中にいるような照明。
かなり響きも良く、明日の本番にモチベーションも上がります!

そして、夜は日本からのツアーのお客様達と楽しい食事会。
ケルンの老舗「Früh」での一枚
ツアーの皆さんと

明日は、いよいよ本番!
今日は早めに寝て明日に備えよう!

そうそう、昨日のブログにも緊急告知しましたが、インターネットでのライヴ生中継のサイトが分かりましたので、リンクを張っておきます。
まだ開かれませんが、開演には大丈夫かと。
日本での開演は29日午前3時からです。(大汗)

WDR Live-Stream

http://www.wdr.de/wdrlive/media/wdr-tv-event

オーケストラのサイト
http://www.wdr.de/radio/orchester/rundfunkorchester/index.html

リハーサル6日目

今日は、「和太鼓とオーケストラのための協奏的断章 鬼神」のリハーサルと録音。
なかなか苦戦しました。
今回2曲目の世界初演の作品ですが、既に“和田薫の世界”にどっぷり浸っているオーケストラにとっては、もうその雰囲気や世界観を見事に表現してくれます。
和太鼓の英哲さんや上田さん・田代さんも素晴らしいパフォーマンスを見せてくれ、和太鼓とオーケストラのまさに融合とバトルといった感じです。

ただ、自分で書いておきながら、アンサンブルを合わせるのが非常に難しい曲でもあります。
「自分で振るんだったら、もっと簡単に書くんだった」
なんて、作曲家に妥協は許されませんが、指揮者としての未熟を思い知らせれました。

夜は、日本から「ケルンツアー」の御一行様が到着。
ケルン・ボン空港へ迎えに行き、深夜までレストランで盛り上がりました。

そして、緊急速報!!
インターネットライヴのリンク先が決まりました!
WDR Live-Stream
http://www.wdr.de/wdrlive/media/wdr-tv-event

オーケストラのサイト
http://www.wdr.de/radio/orchester/rundfunkorchester/index.html

ライヴストリームはまだ開けませんが、開演に合わせて(日本時間29日午前3時より)リンクされるそうです。

お楽しみに!!!

WDRケルン管弦楽団「日本の響き―和田薫の音楽」

日本時間8月29日(土)午前3:00よりインターネットでライヴ生配信決定!

ヘキサゴン・オリジナルズ

¥3,086(税込)
2009.8.26/KICC-793

リハーサル5日目

一昨日は旅の疲れかダウンしましたが、もうすっかり元気です!
このブログを見てくださっている方々から心配のメールなどを頂いたり、オーケストラのメンバーからも心配して頂いたりで、本当に管理不行き届きでスミマセンでした!
もう大丈夫です!

さて、今日からはいよいよ和太鼓と津軽三味線の合わせになります。
午前8時からステージへ和太鼓のセッティング。
パリの日本文化会館からお借りした3尺近い大太鼓をステージへセッティングするのは大変だろうと思っていましたが、なんとドイツ人4人でセッティングしたとか。日本人なら6,7人は必要ですが、さすがです、ドイツの力自慢!
セッティングを終え、オーケストラがくる前に太鼓の音慣らしをしてみる英哲さんと上田さんと田代さん。

音出し中の英哲さん

ホールの鳴りが良いので響きがスゴいのですが、パリからの大太鼓は新しいのもあって、まだ音がパンパンでした(所謂ドンドンではなく)。英哲さん達がいろいろと工夫をしてくれて、だいぶ太い音になってきましたが、もう少しコンディションを調整するそうです。

今日は、オーケストラと和太鼓との録音のためのサウンドチェックが主なので、「鬼神」を軽く一度通すのと、部分確認のみのリハーサルでした。
それでも、初めて聴く和太鼓にオーケストラのメンバーは興味津々。
「鬼神」もリアルにその楽曲の姿が見えてきて、まだまだやりたい気持ちを抑え、サウンドチェックに徹しました。

和太鼓とオーケストラの協奏曲で一番の問題が、この音量差。
しかも、今回は3人も手練の太鼓打ちがいるとなると、いかにドイツのオーケストラでも弦楽器が聞こえないのではないかという不安から、エンジニアからの提案で、弦楽器一人一人にピンマイクを付けてフォローしてみるという試みをすることになりました。
しかし、やはりアンプを通しての音ではどうしても本来の弦の鳴りとは味が違います。
そして、今回のゲストの英哲さんはこれまでに何十回とオーケストラと共演しているので、その音量的なバランス感覚は素晴らしく、最初の合わせでもオーケストラをマスキング(隠蔽)することなく、アンサンブルしてくれていました。
これはやはり経験のなせる技ですね。
今日の結果をいろいろと試行錯誤をして、明日の本格的なリハーサルに臨むことにしました。

その後に、本日のメインイベント、津軽三味線の木乃下真市さんの登場です。
オーケストラのメンバーの中には、“三味線”を知っている人もいて、「こんなに大きな音のするオーケストラだときっと三味線は聞こえないよ」なんて、昨日のリハーサルまでは言っていました。

ところが、木乃下さんがチューニングをして軽く試し弾きをした瞬間、メンバーの顔色が変わりました!
今まで聴いたことがない音。そんな体験の顔なんです。

僕も正直ビックリしたのですが、ここヨーロッパは乾燥しているので弦楽器の鳴りが良いとはよく言われることですが、津軽三味線も例外ではなく、いつもの5倍くらいの鳴り! まるでアンプを付けたような大きな音で、でもスゴく抜けが良く、木乃下さん本人もちょっと驚いていました。

これならオーケストラに負ける訳ないだろう!
と、心の中でつぶやきながら「絃魂」の初合わせ。
最初は、お互いテンポ感が掴めず、少しゆっくり目の演奏になりましたが、リハーサルを重ねて行くごとに、段々本来の木乃下さんのテンポになってきて、ノリも良くなってきました。
指揮の水間さんも、津軽三味線とオーケストラを上手くコントロールしてくれて、ほどなくお互い息もピッタリ合うようになってきました。

絃魂リハーサル

今までのブログで書いて来たように、こちらではリハーサル兼録音というのが放送オーケストラのスタイルなので、当然「絃魂」も録音に入ります。
この録音のために部分的に何度も録るのが、お互いのアンサンブル感覚の融合にちょうど良く、段々とテンポのツボが入ってきました。

絃魂録音

結構大変でしたが、今日のラストまでに「絃魂」の録音を終了できました。
「昨日言っていたことは訂正するよ。この三味線はスゴイ!」と“三味線”を知っていた楽員が真っ先に飛んで来たのが嬉しかったです。

スリーショット

無事録り終えた後の木乃下さんと水間さんと僕。

このリハーサル&録音時に英哲さんもずっと立ち会ってくれて、いろいろとアドバイスを頂きました。さすが海外オーケストラとの経験も豊富な英哲さんのアドバイスなので、いろいろと為になりました。
明日は、僕の指揮で「鬼神」のリハーサル&録音なので、僕がしっかりせねば!

リハーサル後は、皆さんと中華で遅いランチ。
その後は自由行動。
そして、夜はみんなでライン川沿いのレストランへ繰り出しました。
ちょっと雨模様が心配な空を見ながらライン川へ。
沢山あるレストランの中から、今日はイタリアン。
一番表のテラス席に陣取ったものの、ものの5分で案の定、雨が…
急遽大移動で、気を取り直し乾杯!

今夜はイタリアン

帰る頃には雨もやみ、夜風に吹かれながらホテルへ

皆さん、明日もよろしくお願いします!

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リハーサル4日目

今日24日は、英哲さんや木乃下さん達のケルン入りの日です。
オーケストラは、いつもよりちょっと遅めの11時からリハーサル。
今日は「鬼神」と「絃魂」を中心に、「囃子」「土俗的舞曲」「海響」をサラッと。

鬼神」と「絃魂」は、両曲とも和楽器のコンチェルト。
文化の違う、そして音楽のフィールドも違う楽器をコンチェルトにするのは、大きな冒険です。でも、音楽にはそれらを超えた何かがあるように思うのです。今回、僕の作品を取り上げてくれたケルン放送管弦楽団のように。
そこには、言葉を越えてお互いが理解し合える何かがあるんですね。

今日は、そのソリストなしでの練習でした。
既に一週間、僕の作品にどっぷり浸かっているオーケストラですから、音楽のニュアンを伝えるのはかなりスムーズになってきました。
多少欲が出てきて、しつこく練習する時もあるのですが、それにもしっかり応えてくれます。
オーケストラにとっても初体験の和太鼓と津軽三味線のコンチェルト。
明日からの合わせが楽しみです。

リハーサルが終わって、ホテルへ戻り一休み。

19時過ぎに、ちょうど大聖堂の前で英哲さんや木乃下さん達と感動の再会!
日本からの道中は、なんの問題もなく、手荷物扱いの和太鼓や三味線も全日空のご協力でとてもスムーズに運べたとのことでした。
全日空様、ご協力ありがとうございます!

合流後は、まずはいつもリハーサルをしているWDRのホールへ。
楽器のセッティングの下見をしている英哲さん達

リハーサル会場を下見する英哲さん

なんと、英哲さんは30年前に鬼太鼓座のメンバーの時にこのホールで演奏したのだそうです。
明日の段取りなどの打ち合わせをして、その後はやはりケーニシュ!
ゲストの皆さんと初日の乾杯
ドイツ初日ですから、まずは典型的なケルン料理とビールを堪能して頂きました。
みなさん、明日からよろしくお願いしますね!

ところで、昨日はブログをアップできなかったのですが、実はまたもやダウンしちゃいました。
6年前の「喚起の時」の個展の時もそうだったのですが、この一週間の疲れが出たのか、明け方から調子が悪く、昼にはなんと熱が39℃!
日本から持ってきた薬と水を大量補給し大汗をかきながら、一日ホテルで静養していました。おかげで今朝は、熱も平熱に戻り、無事リハーサルを行えました。

ホント、つくづく日頃の運動不足と身体の鍛錬の足りなさを痛感します。

これからは本番までは全力疾走。
体調を万全に頑張ります!!

ケルン6日目

今日はオーケストラのリハーサルはお休み。
ケルンに来て6日目となり、だいぶ慣れたところで、朝からたっぷりと市内観光です!

まずは、ケルンのランドマークであり世界遺産でもある大聖堂の内部

大聖堂の内部

見てるだけで荘厳な雰囲気があるパイプオルガン

大聖堂のパイプオルガン

入った瞬間、身が清められるような壮麗な感じがしました。
土曜日とあって、かなりの人だったのですが、その全ての人たちを畏怖するような空気が漂っていました。

いつも思うことですが、ヨーロッパ音楽をやる上で教会を抜きには語れないことを肌で感じます。

大聖堂を後に、歴史を遡るかのようにローマ・ゲルマン博物館へ

ローマ・ゲルマン博物館

ここは大聖堂のすぐ隣にあるのですが、ローマ時代からあるケルンの歴史と成り立ちを、実物を目の前に感じることが出来ました。

ローマ時代のケルンの地図

この図を見るとローの時代の神殿の跡に大聖堂が建てられたのが分かります。

博物館内部

なんと、何の柵も囲いもなしに遺跡が!
まさに肌で触れるという感じです。

その後は、ちょっと街中を散策。

ケルンの路地

この路地の雰囲気がイイですね。

昼からケールッシュ

そして、昼間っからちょっと一杯。

その後は、有名なライン川の遊覧船でケルンを川からゆったりと見物。

ライン川観光

ライン川からのケルンの街

ライン川からの大聖堂

ライン川からの大聖堂
どこから見ても風格がありますね。
この日は、気温も25℃くらいで、ちょうど散歩日和。
川の上はとっても気持ちよかったです。

そして、船が降りるとなんと川沿いにグランドピアノを運び出し、チャイコフスキーの協奏曲をたどたどしく弾くピアノマン(苦笑)

川沿いのピアノマン

そして、ケルンの中央駅は、電車が出るとすぐにライン川の鉄橋になるのですが、なんとその橋は電車と人が平行に走ってるんです!
鉄チャンにはたまらない一枚

歩行者とICE

鉄道と人道の間に金網の柵があるのですが、そこには沢山の鍵が!
永遠を誓った恋人同士がここに鍵を掛けて行くんだそうです。
縁結びの願掛けみたいですね。

その後は、さすがに疲れたので一旦ホテルへ戻り暫し休憩。

ちょっと腹ごしらえをした後、今夜はオーケストラのオーボエ奏者の吉田さんのお誘いで、ドイツの現代音楽のコンサートへ行ってきました。
日本にも来日したことのある現代音楽のアンサンブル“musikFabrik”

musikfabrik

プログラムは、初演を2曲含む5作品で、全てタイプの違う作風だったので、意外と(?!)楽しめました。

ヨーロッパに来て思うのは、20年前もそうでしたが、特に“現代に生きている作曲家”へのバックアップがスゴいということです。
この団体もWDRの援助のほかに、政府や銀行など様々なスポンサーがついているそうです。これは文化の啓蒙に力を入れているだけでなく、やはりもっと根幹に音楽に対する大きな力が潜在しているのでしょうね。
プログラムも、90年代のスペクトラム学派風な作品から、ポスト新古典的なメキシコ出身の作曲家の作品。シアターピース的な諧謔的作品など、非常に良く考えられたプログラムでした。
考えてみれば、僕だってヨーロッパでは殆ど無名ですが、Fechnerさんは「文化的にやる価値がある」とこの企画を進めてくれたらしいです。
なんと懐の大きいドイツでしょう!

コンサート後は、吉田さんや吉田さんの奥様で同アンサンブルのホルン奏者であるクリスティーヌさんやメンバー達と楽しくビールを飲み語り合いました。

そして、帰り道。

夜中に舞う鳩

夜中の大聖堂に沢山の鳩が!
こんな光景は初めて見たとクリスティーヌさんも言っていました。
神秘的。。。

リハーサル2日目&3日目

昨日までは連日30℃を超えていたのですが、今朝一雨降ってようやく涼しいケルンとなりました。

もう毎日中味の濃いリハーサルと録音で、昨日はさすがにホテルへ戻ってグッタリ。ブログ更新が出来ないでいました。
スミマセン!

なので、まずは昨日のリハーサル2日目の様子から。

リハーサルとレコーディングをしているWDRのホールスタジオの入り口

リハーサル会場

2日目は「海響」からスタート。
この曲はブラスとパーカッションが大活躍する曲ですが、もう初っぱなから大音響!
さすがドイツのオーケストラ、響きが熱い&厚い!
さらに中間部の静かなところでは、弦の響きが美しい!

リハーサル会場と言っても、パイプオルガンまである立派なホールで、客席数も800席くらいあります。
なので、響きがとっても良いホールで、プレイヤーもとっても弾きやすいと言っていました。
さすが放送局のオーケストラ!
自前のホールとレコーディング設備があって、楽屋にはカフェも。
日本のオーケストラにとっては羨ましい環境です。

さて、「海響」のリハーサルは順調に進み、後半の“早馬鹿”などは信じられないテンション! ドイツ人の吹くあのお囃子のフレーズも良い感じでした。
銚子のみなさんにも聴かせてあげたいなぁ。

そして、録音はこれまた納得がいくまでテイクを重ねます。
ライヴで聴く分には何も問題がないような箇所も、録音となるとちょっとしたアンサンブルのズレやピッチも許されません。ディレクターの無情なまでの(?)指示が飛びます。
「うわ〜、厳しいなぁ」
正直な僕の感想です。
作曲家としては、完璧な演奏を目指してくれるのは大変ありがたいのですが、一方演奏者にとってかなりキツい僕の曲を、何度も演奏してもらうのは身が縮まる思いです。
指揮の水間さんも根気よく仕上げてくださって、頭の下がる思いです。

「海響」のリハーサルと録音を終えた後は、昨日リハーサルした「祷歌」のリハーサルと録音にはいりました。

「祷歌」の独奏部を演奏中のオリバーさん

オリバーさん

この曲は、これまでの曲とはがらりと変わって、内面的な音楽なのですが、それがドイツ人の感覚と共感したのが、深い味わいの響きとなって昇華されて行きました。
ソリストのオリバーさんも素晴らしく、たっぷりとした歌い込みと日本的な“間”の取り方が絶妙でした。
きっと本番は、素晴らしい世界初演となることでしょう。

そして、今日リハーサル3日目。
いよいよ僕の指揮で「犬夜叉幻想」と「鬼神」です。
まずは、「犬夜叉幻想」のリハーサル
犬夜叉リハーサル

「犬夜叉」は既にドイツでも放送されていて、コミックスも街の本屋に必ずある程なんです。
でも、一応オーケストラの皆さんには「犬夜叉」の説明をして、リハーサルにへと突入しました。

まず最初はざっと最後まで通しを。
最初の響きから、もう鳥肌もんです!
この2日間、僕の作品をみっちり演奏しているせいか、僕の作品への理解度が日に日に増して、楽譜が何を言わんとするかを最初から良く理解してくれています。
ブラスセクションのパワーも、もう強力強大で、まさに“吠える!”って感じ。
木管楽器のソロも美しく、そして泣かせます。

犬夜叉は、これまで録音やコンサートで何十回と演奏してきましたが、外国で演奏するのは初めて。しかし、こんなに理想的な演奏をしてくれるなんて、実はちょっと驚きでもありました。

僕の純音楽作品、「民舞組曲」や「海響」を海外のオーケストラで演奏する場合、微妙に違う節回しやニュアンスを説明するのに結構苦労するのですが、ここケルンでは、そのようなことが殆どありませんでした。
それは、放送オーケストラなので、いろんな音楽に対応できる柔軟性と、「犬夜叉」の様にドラマ的な背景がある音楽にとても共感してくれたからではないかと感じています。
そして何よりオーケストラが積極的に演奏してくれているのが大きいですね。

それにしても、一番の問題は棒(大汗)
ドイツのオーケストラを振るのは初めてなのですが、そのコントロールの重いこと。(苦笑)
さすが、ベートーヴェンやブラームスの国。その重厚な演奏スタイルは犬夜叉を振っても変わることはなく、テンポの作り方に大汗をかきました。
でも、これも大変貴重な経験。そして、段々と僕の棒に応えてくれる楽員達とのコミュニケーションがとても嬉しいんです。
「お前の曲は演奏しててとても楽しい」
「Great music!」
と、休憩時間や録音が終わってから、多くの楽員が声をかけてくれて、それが何よりも救いになります。

「犬夜叉幻想」も録音したのですが、これも日本の録音の仕方とは少々違い、慣れるまでが(まだ慣れてませんが)一苦労。
作曲者より厳しいディレクターの注文がビシビシ飛んできます(大汗)

それでも、なんとか録音を録りきり、「鬼神」のリハーサル。
まずは、「鬼神」というタイトルの説明をします。
今回、オーケストラのオーボエに吉田さんという日本人の方がいらっしゃるのですが、このリハーサルや録音に通訳としても助けてもらっているんです。
このブログで何度か「鬼神」の説明をしましたが、これをドイツ語に訳すのはかなりの難題。やはり言葉のニュアンスや漢字という東洋独特の表意文字を説明するのは難しいですね。

じゃあ、なんで漢字を使うの?
と言われると、やはりそれでしか表現できない意味合いがあるんですね。
「Sonata」とか「Divertimento」は、やはり西洋の思想を背景にしている形態で、僕の作品のタイトルにはどうもしっくりこないんです。
なので、理解に多少時間がかかろうとも漢字や漢字による造語でタイトルを作るんです。

さて、「犬夜叉幻想」で僕もオーケストラも相当エネルギーを使ったので、今日の「鬼神」は1度通すだけ。世界初演でもあるし、今日は英哲さんたちもいないので、どんな感じの曲かをまずは知ってもらいました。

今日も内容ビッシリの1日でしたが、明日明後日はお休み。
ちょっと気分を変えて、ケルンを満喫したいと思います。