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現代音楽からTV・映画の劇伴や舞台・イベントなどの作曲や編曲etc.

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Vol.1 日本語とオペラ#1 日本語の歌とオペラ

 2007年の秋頃、古くから親交があり私の作品の理解者である榑松さん(うずら公演実行委員会委員長/元東京フィル楽団長)から一本の電話を受けた。

「実は今、新作オペラの作曲者候補に和田さんの名前が挙がっているんだけど、どう?」

新作オペラ? ……うーん……

「すみません、オペラはちょっと… オペラは書いたことないし、まず日本語の“歌”を書くのが苦手で…」

という曖昧な言い方をしてお断りしようとした。

「いや、まだ候補だから。名前挙げるだけでもいいでしょ?」
「…名前だけなら…」

 約3年間に渡る大きなプロジェクトの最初は、こんなやり取りで始まった。

 作曲家にとって、作品の委嘱を受けるということは大変光栄なことであり、有り難いことである。しかし、オペラに関しては自分は未経験だし、委嘱を頂く資格はないと思ったのが正直なところ。何より「日本語の歌」の問題、そしてオペラという様式に対する私自身の未解決な問題があまりに大きかったので、むしろ避けて通りたい分野であった。

 「日本語の歌」の問題。これは学生の頃からずっと自問してきた事なのだが、所謂“文学”と“音楽”の共存は可能かという命題である。何を今更、という御仁もおられようが、文学的呪縛に於いて音楽を支配されることが解決できないまま長年作曲活動をしてきた自身、純音楽における“歌曲”的なものはほとんど私の作品リストには無い。

 例えば、校歌や映画やイベントなどで効用音楽としての“歌”はあるのだか、それは目的がハッキリしている。そしてアレンジャーとしても多くの“歌もの”を担当してきたが、その視点からも納得のいく「日本語の歌」の意味は得られなかった。

歌詩または歌詞とは、文学を更に抽象化し形而上学的な語感に洗練していくのだが、それを日本語の音楽としての様式化に自身が至っていなかったのであった。

 それぞれの国には、それぞれの言語で“歌”は存在する。例えば、ベートーヴェンの第九の合唱は、文学的な名訳があるにせよ、やはり日本語で歌うと陳腐であり、意味は分からなくともドイツ語の語感の響きには敵わない。

 私の作曲家としての信条は、日本の伝統的な音に共感し現代へ投企することなのだが、この日本の伝統的音楽のカタチと現代の文学(短歌や和歌でなく歌詞として)の共存に、まだ意義あるスタイルを見出せなかったのであった。
 
 そして「オペラ」という様式、つまりヨーロッパ芸術の権化であるオペラが、自らの音楽的信条にどうしても相いれないのであった。オペラの歴史は、宗教音楽と同じくヨーロッパ音楽の根幹をなすもので、発生は16世紀末だが、文化的起源は紀元前のギリシャ時代にさかのぼる。つまり、その永々とした時の積み重ねの中に現在のオペラ芸術はある。
 日本にも、能や歌舞伎のように文学・音楽・舞踊などの総合芸術としての舞台芸術はある。それらは、日本人の潜在意識の中に大きな価値観を形成していて、現代でも演劇や映画などあらゆるジャンルに継承されている。例えば、「寅さん」のような映画は日本人にしか作れないし、未だに忠臣蔵に共感する人は多い。

 しかし、オペラに限って言えば、日本の現代オペラはヨーロッパのそれの借り物に過ぎないのではないと、ずっと感じていたのである。勿論、日本の歴史や音素材を使った日本風オペラも存在するが、それは果たして歴史の継承者となるのであろうか?その疑問が悶々と長年私の中にあった。

 これら大きな二つの問題が、榑松さんからの電話で咄嗟によぎったのであった。だから最初は全く消極的であったし、お断りするつもりだったのだが…

 数日後、
「和田さんで決まったよ。」と、榑松さんからの電話。

「えええ! 僕ですか?! 他に適任者が入るでしょう?」
「いや、実行委員会の多数決で決まったんだよ。お願いしますね。」
「いやいや、ムリですよ。オペラ書いたことなし…」
「書いたことない人がいいんだって。お願い、頼みますよ。」

 ここから3年間の格闘の日々が始まった。

NHK-BS「名曲探偵アマデウス」に出演

「名曲探偵アマデウス 第70回禿げ山の一夜」に楽曲解説で出演
「なぜこの曲は恐怖心をかき立てられるか?」のなぞ解きを解説
本放送:NHK BShi 2010年 7月12日(月)19:00~19:44
再放送:NHK BShi 2010年 7月13日(火) 8:00~ 8:44
NHK BS2 2010年 7月22日(木)16:00~16:44
(※放送時間が上記↑に変更になりました)

第6回なぎさブラスゾリステン コンサート 新曲初演

今年もオープニングの新作とこれまでのなぎさオリジナルを演奏
「海に寄せる3つの断章より第一楽章」
「金管アンサンブルと打楽器のための二章“海神”より第二章」
2010年10月6日(水) 19時開演
逗子文化プラザホール・なぎさホール

NHKみんなの童謡「富士の山」アレンジ指揮担当

7月放送予定です。

NHK-BS映画音楽に乾杯! アレンジ担当

「太陽がいっぱい」と「ゴジラ・メドレー」の2曲をアレンジ
6月27日(日)BS2:午後7時30分~8時58分 放送
7月3日(土)BS hi 午後4時30分~5時58分 再放送

吹奏楽のための祝典序曲「嶽響(たきゆら)」楽譜販売中

沖縄に駐屯する陸上自衛隊第1混成団音楽隊の第28回定期演奏会のための委嘱作品
14,040円(税込)/内容:スコア・パート譜一式
演奏形態:吹奏楽/演奏時間:約5分45秒
発売日:2010年4月30日
取り扱い先: 東京ハッスルコピー

OVA「聖闘士星矢THE LOST CANVAS冥王神話」第2シリーズも音楽を担当

全6巻のOVA第1シリーズの好調を受け第2シリーズも制作決定!
詳細は追って発表します。

犬夜叉 ベストソング ヒストリー

2010.3.24/AVCA-29654~5/B/AVCA-29656~7

犬夜叉と共に歩んだ10年

 2000年秋に放送を開始した「犬夜叉」も、昨年秋からスタートした「犬夜叉 完結編」の最終話を迎えるにあたって10年の幕を閉じることとなます。ちょうどホームページを立ち上げたのも2000年秋からで、この10年という歳月の流れの早さと重さをひしひしと感じています。

 思えば、僕にとってこんなにスタッフ・キャストの繋がりが深かった作品はなかったと思います。アフレコにも良く行ったし、その後の飲み会にも勿論参加。夏は南の島へみんなと旅行へ行き、冬は僕の実家の下関の割烹旅館でふぐを食べる。前シリーズの時は、引っ越したばかりの僕の家でよくギョーザパーティをしました。

 そんな思い入れの強い犬夜叉ですが、2000年にスタートする際、この作品を担当させて頂くにあたり僕の中では壮大な計画(希望)が実はありました。それまでにも様々なアニメや実写映画で邦楽器を劇伴音楽の中に取り入れてきていたのですが、この犬夜叉ではメインに関連するものは全て邦楽器を絡めようと思っていたのでした。それまで本格的に邦楽器を使ったアニメはなく、あったとしてもシンセ音やちょっとした味付け程度でした。

 ピアノやオーケストラなど、西洋音楽はいろんな機会で聴いたりすることは出来ますが、意外と僕らの音、日本の音に関してはあまりにも無関心でいたように僕はずっと思っていました。それにはいろいろな問題があるのですが、一般の皆さんが耳にすることの多い劇伴、その中でもアニメは子供達が耳にすることが多いメディアです。そこにホンモノの音で聴いて欲しい、出来れば邦楽器の良さを味わって欲しいというのが、僕の企図でした。

 その願いはこの10年で大きく実を結びました。今や犬夜叉の中では篠笛や琵琶や箏は欠かすことが出来ない音ですし、僕のところにも多くの方から「犬夜叉を見て笛を習い出しました」とか「お箏で犬夜叉を弾いています」というお便りを沢山頂きました。

 そしてその波は、鬼神ブログにも書きましたが、ドイツでのコンサートの際、主催者側から犬夜叉の音楽をやって欲しいとか、津軽三味線の曲をやって欲しいというリクエストを頂き、日本だけでなく、犬夜叉を通じて世界で日本の音が聴かれていることを作曲者として嬉しく、そして誇りに思ったことでした。

 昨年秋から「犬夜叉完結編」がスタートし、多くの方々から新しい音楽はないのかというお便りを頂きました。実は当初完結編では前シリーズで書いた100曲以上の音楽から選曲でいくというお話でした。これは完結編をスタートするにあたってのいろいろな条件や大人の事情もあって、新たに音楽録音をするのが厳しい状況だったわけです。多分、従来の作品でしたら、それはそうで仕方がないと思ったでしょうが、原作のあの感動のラスト、そして多くの皆様からの新録音への希望が僕の背中を押してくれました。

 「録音かかる費用は全部僕の方で都合付けますから、新曲使いませんか?」
と、アニメ犬夜叉の生みの親であるプロデューサーの諏訪さんにお話しました。これだけ作品への絆の深い犬夜叉の最後に、選曲ではなく有終の美を飾りたいという気持ちは、スタッフみんなの気持ちでもありました。讀売テレビ・小学館・サンライズ・エイベックス等々関係各社がいろいろと調整してくれて、25話に2曲、そして最終話をすべて新録音でやろうということになったのが、昨年の暮れの頃でしょうか。

 2月17日13時、いつものアバコスタジオで犬夜叉の最後の録音が始まりました。演奏者はのべ48名。コントロールルームも25名を越すスタッフとキャストの皆さんが見学に来てくれて、スタジオは熱気ムンムンの状態でした。

「5年ぶりの犬夜叉の録音です。そしてこれが最後の録音です。」
とオーケストラの皆さんに挨拶をして、いよいよ録音のスタートです。

 順調に録音は進み、16時からは笛・琵琶・箏の邦楽器のダビング。そしてその後に僕のピアノと津軽三味線のダビングをしました。なんと録音でピアノを弾くのは1年ぶり! 津軽三味線は前回の映画「紅蓮の蓬莱島」の録音以来だったので5年ぶり!! もうかなりテイクを重ねる羽目になりましたが、納得がいくまで録音をしました。

 10年間も犬夜叉という作品に関われて、本当に幸せだったと実感しています。純音楽と劇伴音楽という2つの音楽世界で活動を続ける僕にとって、犬夜叉という作品は最もその二つが融合した作品でした。これは僕にとって大きな財産であり、これからの音楽活動の指標にもなるでしょう。

 最後に、スタッフとキャストのみなさん、讀売テレビ・小学館・サンライズ・エイベックスをはじめとする関係者の皆様、そして多くの犬夜叉ファンのみなさん、本当にこの10年応援して頂きありがとうございました!

そして、ありがとう! 犬夜叉!!

犬夜叉 完結編の新劇伴音楽がリリース!

前シリーズのOP&EDと完結編の全OP&ED、そして25話と最終話のための劇伴を 収録した「 犬夜叉ベストソング ヒストリー」がエイベックスよりリリース♪
初回限定盤には歴代のOP&EDの映像DVDも!
2010年3月24日(水)発売
初回限定盤 4,410円(税込)CD2枚+DVD1枚 AVCA-29654~5/B
通常版 3,675円(税込)CD2枚 AVCA-29656~7