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現代音楽からTV・映画の劇伴や舞台・イベントなどの作曲や編曲etc.

YURA record

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若獅子太鼓 (和太鼓)

2011年10月1日
第66回国民体育大会 総合開会式
維新百年記念公園陸上競技場

「雪」

NHK「みんなの童謡」

アスラズ・ラース/福田考代

カプコン&サイバーコネクト2
ゲーム音楽オーケストレーション

『ドットハック セカイの向こうに』/福田考代

サイバーコネクト2
劇場映画オーケストレーション

「赤とんぼ」

NHK「名曲アルバム」

天満敦子アルバムアレンジ

「さくら貝の歌」「鐘が鳴ります」
「悲しい酒」「赤とんぼ」「荒城の月」

ニノ・ロータの映画音楽に乾杯!

なぎさブラスゾリステン 第6回コンサート

童謡詩劇うずら【初演を終えて】

 熱い2日間が終わった。ここまでの3年間を思うと万感の思いである。正直、思いもよらなかった委嘱の話から、全く手探りの状態でここまでやって来て、重責の荷を下ろすことができホッとした感がある。と同時にそんな作曲家に、スタッフ・キャストのみなさんは不満を言わず付いてきてくださり、今は感謝の気持ちでいっぱいでもある。

 打ち上げの席で先生役の小鉄和広さんにも言われたが、このような舞台になると想像して作曲したのか、とよくいろいろな人に質問された。私の答えはNo。新しいものを作るのに完成形が見えていたら、それは既に新しいものではないし、第一作っていて面白くない。誤解があるといけないのだが、オーケストラなどの器楽曲の場合は作曲が完成された時点で、その音楽は見えている。しかし、総合芸術と言われる舞台作品では、作曲家の考えを時には超越し、あらゆる起点から未知へと目指そうとする。けれど、それはみな同じベクトル上にあり、この共同作業が今までとは違った到達感を私に与えてくれた。

 「童謡、演劇、オペラの融合」、これが果たして達成されたかは、その発案者としては実のところ十分ではないと感じている。勿論、多くの才能の結集により、面白い舞台、今までに無いアプローチは出来たと思うが、まだ本来志向していた日本独自のオペラ作品の完成には、私は至っていなかった。まだやり残し感があるのである。しかし、それはこの「うずら」の結果があればこそ見えてきた次の次元であり、今はこの成功を素直に喜びたいと思う。

 私は、山口県かつての長州藩の生まれであるが、その先人の教えとして吉田松陰先生の「草莽崛起」に共感するものである。これは幕末の頃、形骸化した武士でなく、士農工商のあらゆる身分の人々が志をもって立ち、日本を変えようという教えである。

 翻って、私はこの「うずら」を創作して行く中で、演劇やオペラ、プロフェッショナルやアマチュア、大人から子供、あらゆる立場を混在させ、日本の新しい創作音楽舞台の創造という原点を、実はこの「草莽崛起」に見ていた。そして、今回それは大きく開花したと感じる。終演後のキャストやオーケストラ、うずら合唱団や児童合唱団の笑顔は全て等しく、それはまた観客とも共有していた。

 「うずら」は、これからも再演を重ねて行きたいと望んでいる。また普及のために、小編成版や合唱組曲化も予定している。今回の結果から得られたものが、再演や演奏を重ねる事により深化して行き、より日本語の新しいオペラの形態を普遍化して行くだろう。何より、既にこの「うずら」は、出演者全員の、そして和光の財産となったのである。それを大きく飛翔させるのが文化であると信じている。
 
 最後に、4年間の長きに渡って制作の労を取ってくださったうずら公演実行委員会のみなさま、和光市文化振興公社のみなさま、多くの関係者の皆さま、そして同じ目標に向かって今日まで頑張ってくれたスタッフ・キャストの皆さまに、この場をお借りして感謝申し上げます。本当に、お疲れ様でした!!

おもしろき こともなき世を おもしろく すみなすものは 心なりけり
(高杉晋作)

劇団青年座第200回公演「黄昏」の音楽担当

映画でも有名な「黄昏」の舞台化! 人間性あふれるドラマ。
主演:津嘉山正種 岩倉高子 演出:伊藤大
2010年11月20日(土)~11月28日(日)紀伊國屋ホール
詳細はこちら≫

Vol.8 作曲 その2 創作の源

オペラは、歌手・合唱・オーケストラ、時にはバンダと言ってオーケストラピットの外で演奏する奏者や舞台裏の合唱など、通常の演奏会形式の作品を作曲する場合とかなり状況が違う。今回の「うずら」も、俳優・子役・歌手、そして混声合唱と児童合唱、二管編成のオーケストラという形態で、それぞれのシーンに合わせてどのようにバランスを作って行くかが鍵で、作曲作業に於いても常に立体的な思考を求められた。

 特に、今回合唱団は地元和光市を中心に、隣接の児童合唱団や高校のグリークラブの参加を得ることができ、総勢170名余りの大合唱団を組織することができた。問題は、その配置である。通常オペラの場合は、合唱団も民衆や兵隊などの役柄を持ち、演技しながら歌うことが多いのだが、「うずら」ではその形式をとらず、オラトリオ形式、つまりステージ奥に合唱隊として配置することとした。これは前回書いた(Vol.7)“狂言回し”というストーリーテラー的な役割とギリシャ劇でいうコロス形式を用いたためである。物語の進行を明快にするためだけでなく、ソリスト・合唱・オーケストラという三角形の関係の中に主人公の詩人を投入し、俳優がオペラ作品に存在する命題を明確にしたいと言う企図からであった。

 私は本来、作曲する立場として、日本の伝統音楽・民族音楽に立脚した創意を主義としているのだが、「うずら」に関しては、それに加え現代の大衆エンターテインメントのあり方についても考察を広げた。アバンギャルドな現代音楽による現代オペラ、ハリウッド的な華美なミュージカル、深刻なデカダンに陥るアングラ文化、私たちはそれらを受け入れながら、それがエンターテインメントだと思うようにしているが、果たしてそうなのか?大衆(マス)を喚起するエンターテインメントとはどのようなものなのか?

勿論、これらは時代と社会背景によって左右されるであろうし、あらゆる啓蒙運動によって開花する場合もある。しかし、当初から考えていた「日本人(語)のオペラとは?」という命題は、今までの形態では決して解決できるものではないと思うのである。その意味では、「うずら」は大衆のための実験オペラかもしれない。しかし、絶対に言えることは、単なる実験ではなく、制作過程から「面白い」という選択によって決断をして行き、現場の人たち、つまりは最初の観客とも言えるスタッフやキャストの提言なども取り入れつつ創作して行ったことが大衆エンターテインメントの実を結ぶのではないかと言うことである。

 前述した作曲家としての立場と同時に、私は多くの映画やテレビ、芝居などの所謂劇伴と言われる音楽を作ってきた。これは正に大衆エンターテインメントなのだが、それらの多くは習慣的嗜好によるエンターテインメントであり、実験現場的な立場とは大きく異なる。しかし、これら二つの世界で生きてきたからこそ、私はそれらを交錯させ、独自の形態を作りたいと思ったのである。

 面白い。この判断こそが、この「うずら」の制作を進めた原動力であった。