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現代音楽からTV・映画の劇伴や舞台・イベントなどの作曲や編曲etc.

Column 2009年「ケルン旅日記」

ケルン旅日記

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リハーサル2日目&3日目

昨日までは連日30℃を超えていたのですが、今朝一雨降ってようやく涼しいケルンとなりました。

もう毎日中味の濃いリハーサルと録音で、昨日はさすがにホテルへ戻ってグッタリ。ブログ更新が出来ないでいました。
スミマセン!

なので、まずは昨日のリハーサル2日目の様子から。

リハーサルとレコーディングをしているWDRのホールスタジオの入り口

リハーサル会場

2日目は「海響」からスタート。
この曲はブラスとパーカッションが大活躍する曲ですが、もう初っぱなから大音響!
さすがドイツのオーケストラ、響きが熱い&厚い!
さらに中間部の静かなところでは、弦の響きが美しい!

リハーサル会場と言っても、パイプオルガンまである立派なホールで、客席数も800席くらいあります。
なので、響きがとっても良いホールで、プレイヤーもとっても弾きやすいと言っていました。
さすが放送局のオーケストラ!
自前のホールとレコーディング設備があって、楽屋にはカフェも。
日本のオーケストラにとっては羨ましい環境です。

さて、「海響」のリハーサルは順調に進み、後半の“早馬鹿”などは信じられないテンション! ドイツ人の吹くあのお囃子のフレーズも良い感じでした。
銚子のみなさんにも聴かせてあげたいなぁ。

そして、録音はこれまた納得がいくまでテイクを重ねます。
ライヴで聴く分には何も問題がないような箇所も、録音となるとちょっとしたアンサンブルのズレやピッチも許されません。ディレクターの無情なまでの(?)指示が飛びます。
「うわ〜、厳しいなぁ」
正直な僕の感想です。
作曲家としては、完璧な演奏を目指してくれるのは大変ありがたいのですが、一方演奏者にとってかなりキツい僕の曲を、何度も演奏してもらうのは身が縮まる思いです。
指揮の水間さんも根気よく仕上げてくださって、頭の下がる思いです。

「海響」のリハーサルと録音を終えた後は、昨日リハーサルした「祷歌」のリハーサルと録音にはいりました。

「祷歌」の独奏部を演奏中のオリバーさん

オリバーさん

この曲は、これまでの曲とはがらりと変わって、内面的な音楽なのですが、それがドイツ人の感覚と共感したのが、深い味わいの響きとなって昇華されて行きました。
ソリストのオリバーさんも素晴らしく、たっぷりとした歌い込みと日本的な“間”の取り方が絶妙でした。
きっと本番は、素晴らしい世界初演となることでしょう。

そして、今日リハーサル3日目。
いよいよ僕の指揮で「犬夜叉幻想」と「鬼神」です。
まずは、「犬夜叉幻想」のリハーサル
犬夜叉リハーサル

「犬夜叉」は既にドイツでも放送されていて、コミックスも街の本屋に必ずある程なんです。
でも、一応オーケストラの皆さんには「犬夜叉」の説明をして、リハーサルにへと突入しました。

まず最初はざっと最後まで通しを。
最初の響きから、もう鳥肌もんです!
この2日間、僕の作品をみっちり演奏しているせいか、僕の作品への理解度が日に日に増して、楽譜が何を言わんとするかを最初から良く理解してくれています。
ブラスセクションのパワーも、もう強力強大で、まさに“吠える!”って感じ。
木管楽器のソロも美しく、そして泣かせます。

犬夜叉は、これまで録音やコンサートで何十回と演奏してきましたが、外国で演奏するのは初めて。しかし、こんなに理想的な演奏をしてくれるなんて、実はちょっと驚きでもありました。

僕の純音楽作品、「民舞組曲」や「海響」を海外のオーケストラで演奏する場合、微妙に違う節回しやニュアンスを説明するのに結構苦労するのですが、ここケルンでは、そのようなことが殆どありませんでした。
それは、放送オーケストラなので、いろんな音楽に対応できる柔軟性と、「犬夜叉」の様にドラマ的な背景がある音楽にとても共感してくれたからではないかと感じています。
そして何よりオーケストラが積極的に演奏してくれているのが大きいですね。

それにしても、一番の問題は棒(大汗)
ドイツのオーケストラを振るのは初めてなのですが、そのコントロールの重いこと。(苦笑)
さすが、ベートーヴェンやブラームスの国。その重厚な演奏スタイルは犬夜叉を振っても変わることはなく、テンポの作り方に大汗をかきました。
でも、これも大変貴重な経験。そして、段々と僕の棒に応えてくれる楽員達とのコミュニケーションがとても嬉しいんです。
「お前の曲は演奏しててとても楽しい」
「Great music!」
と、休憩時間や録音が終わってから、多くの楽員が声をかけてくれて、それが何よりも救いになります。

「犬夜叉幻想」も録音したのですが、これも日本の録音の仕方とは少々違い、慣れるまでが(まだ慣れてませんが)一苦労。
作曲者より厳しいディレクターの注文がビシビシ飛んできます(大汗)

それでも、なんとか録音を録りきり、「鬼神」のリハーサル。
まずは、「鬼神」というタイトルの説明をします。
今回、オーケストラのオーボエに吉田さんという日本人の方がいらっしゃるのですが、このリハーサルや録音に通訳としても助けてもらっているんです。
このブログで何度か「鬼神」の説明をしましたが、これをドイツ語に訳すのはかなりの難題。やはり言葉のニュアンスや漢字という東洋独特の表意文字を説明するのは難しいですね。

じゃあ、なんで漢字を使うの?
と言われると、やはりそれでしか表現できない意味合いがあるんですね。
「Sonata」とか「Divertimento」は、やはり西洋の思想を背景にしている形態で、僕の作品のタイトルにはどうもしっくりこないんです。
なので、理解に多少時間がかかろうとも漢字や漢字による造語でタイトルを作るんです。

さて、「犬夜叉幻想」で僕もオーケストラも相当エネルギーを使ったので、今日の「鬼神」は1度通すだけ。世界初演でもあるし、今日は英哲さんたちもいないので、どんな感じの曲かをまずは知ってもらいました。

今日も内容ビッシリの1日でしたが、明日明後日はお休み。
ちょっと気分を変えて、ケルンを満喫したいと思います。

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  1. お名前:こまちゃ | 2009年08月23日 02:24 |

    和田先生、こんにちは。

    ブログを読んでいるだけで、手に汗握る緊張感がビシビシ伝わってきます。

    言葉や文化の壁を超えて、犬夜叉の世界観や先生の音楽を理解してもらうのは本当に大変なことなんですね。

    曲名の付け方には、漢字が大きく関わっていたとは知りませんでした。また一つ…豆知識が増えました(笑)
    ありがとうございました。

    それでは、この辺で…
    よい休日を・・・(^_^)